Celtaの通信簿 19/20総集編 ~通信欄その1~
19/20シーズン開始時のセルタのカンテラ出身選手たち(全員名前言えたら、間違いなく超上級セルティスタです!自分も名前が怪しい人が・・・w)
さてさて、ここからは通信欄と題しまして筆者独自の視点から今季を振り返ってみたいかなと思います。
筆者は今季からセルタのカンテラについて重点的にウォッチングしてきました。クラブが選手復帰計画を遂行したのもありますが、語学力も情報集積能力も劣る自分が特色を出すためでもありますw(嬉しいことにセルティスタには規模の割に強アカ揃いですからねwww)
ということで筆者からはトップチームを見ているだけでは分からないであろうことを中心に振り返っていきたいと思います。
今季のBチームに起こっていたこと
あまり知られていないと思いますが、トップチーム同様、BチームもセグンダBの降格争いを戦っていました爆
2月の終わりにセグンダBが途中終了する前節まで降格圏から脱出することが出来ていませんでした。そーゆー意味ではトップチームよりギリギリの状態でしたね…
しかしチームが抱えていた問題はトップチームと一見異なるものの、浮上するきっかけになった解決策はよく似ている、という不思議なことが起きていました。そしてこの現象を紐解いていくと、セルタが抱える矛盾が見えてきます。
スカッドの特徴と監督
今年のBチームの特徴は大変年代が若いということです。トップチームもここ3年で若返りが見られましたが、Bチームもそれに釣られて非常に若いチームとなっていました。基本的に23歳以下の選手で構成されるBチームですが、20歳以下の選手が目立ちました。両サイドバックのカレイラ・パンピン、CBのフォンタンは20歳以下ながらほとんどの試合でスタメン出場。
さらに、インテリオールのベイガ、モハ、そしてBの「アスパスロール」を任されていたイケル・ロサダも数多くの試合に出場していました。
良くも悪くも非常にフレッシュなメンツが揃っていました。
さて次に監督です。昨季から監督が変わりって、お隣のCoruxo CFからハコボ・モンテスを招聘してきました。彼のスタイルを一言で言い表すなら"セグンダBのキケ・セティエン"と言ったところでしょうか?笑 ボールを握って、相手を食いつかせ、人とボールを動かしゴールを陥れる、そんなポゼッション志向の強い監督を連れてきました。攻撃力自慢のSB、ボールの取り扱いに優れた中盤と相性が良さそうな感じですね。
勝てば大勝、負ければ惨敗・・・
開幕戦は2-2の引き分けに終わりますが、2節では4ゴールを奪って快勝。その後もアペーの反則級の強さと決定力、イェボァの突破、魅惑の中盤が織りなすスムーズなボール循環とSBの果敢な突撃が織りなす攻撃で得点を重ねていきました。
シュートが少なく、とにかく点の取れなかったトップチームとは対照的な前半戦を戦っていましたね。
ハイライトはSanta Eulália戦。先制するもお粗末な守備で1-3と敗色濃厚。後半投入のハコボが輝いて1点返すも、交代枠を使い切った後にGKが退場。急遽カピタンで右サイドバックのパンピンがGKとして出場することに。反撃ムードもココまでかと思われました。しかし、そこからハコボの超絶FKとアペー君の個人技でビハインドをひっくり返して勝利www
よりによって身長の小さいパンピンをGKに置いたのは謎ですが、ぶかぶかのGKユニを着ながら鋭い切り替えしで相手のFWをかわしてる辺り流石ですねwww
なかなか見られない名勝負でしたw (生で見逃したのが悔やまれる……)
一応、フルマッチの動画が見つかったので気になる方は、ぜひ見てみて下さい笑
さてこのチームの大きな問題点は一つ。
この試合を見ても分かるように、とにかくロングボールに脆いチームでしたw
セグンダBはテクニックのあるプリメーラ等のBチームとベテランと粗削りの若手が揃ったマイナーチームが混在する特殊なリーグです。マイナーチームは勝つために死ぬ気で襲い掛かってきます。数少ないセグンダAへの切符をかけて、勝ち方なんて拘らず泥臭く戦ってくるのです。その両方のチームに勝ち続けることがセグンダB突破の秘訣だと思っています。
今シーズンのセルタBはBチーム相手には良い勝負を演じるけども、マイナーチームに対してはボコボコにされるか、時々大勝をあげる程度でした。大敗するときは大抵押し込む試合展開なもののロングボールやロングスローでゴール前にカオスを作られ、失点する・・・というパターンが多くありました。
さらにそこに拍車をかけたのが、両SBの身長の小ささ。攻撃自慢で広大なスペースをサイドに空けがちで、そこを起点にされてカウンターされる場面が多数みられました。
特に顕著だったのが1-6で敗北したアトレティコ・バレアレス戦。ガブリ・ベイガのBチーム初ゴールで先制するも、ロングボールと精度の良いシンプルなクロスでカウンターを繰り出すバレアレスに大敗。痺れを切らして、パンピンを下げてフォンタンを右SBに置きますが、反撃できず。ポゼッションしている時間も長く、全く押し込まれてはいないものの酷い負け方でした・・・
監督交代!!
さすがに降格圏を脱出できないセルタBの現状を重く見た首脳陣は年明けの1月末に監督を交代。オネシモ・サンチェスに変わりました。監督交代後はあまり多くの試合を見られなかった&コロナで打ち切りでしたので細かいことは言えないのですが、中盤の人数を1枚削って完全な4-4-2にシフト。ロサダはベンチ送りで、冬に獲得してきたハビ・ゴメスをアペーの相方においてしっかりカウンターの起点を作ることに集中しました。
中盤2枚もモリ―ナとモハでボール狩りを意識。幅取り役はハコボとイェボアの純粋なサイドアタッカーに任せて、シンプルにアペーの強さを生かしたサッカーへ変わりました。
サガン鳥栖の松岡大起とイケル・ロサダ。今年は通年通してスタメンで出たい。
サイドアタッカーで幅を取り、CFをきちんとおいてポゼッションに拘り過ぎない。これはトップチームのオスカルがやった事とちょっと似ていますね。
結局、打ち切り前最後の2試合を連勝で飾って降格圏を脱出。幸い打ち切りに伴い降格はそもそもありませんが、処分に肝を冷やすことなくシーズンを終えることが出来ました。
Bチームに関しては身も蓋もない事を言うと、ボール捏ねまわしてるよりアペーで殴った方が強かったというわけですw
なぜ、こんなことになった??
さて、ここからはもう少し視野を広くして問題を見ていきましょう。
コンセプトとしては悪くなかった今シーズンのセルタBですが、なぜ志半ばで方向転換を強いられなければならなかったのでしょうか?
まずは前述のセグンダBというコンペティションの特殊性。これは今回話したいことと本筋がズレるので置いておきます。(それと、「どれだけ相手を見ながらサッカー出来てたか」を論じるまではセグンダBに詳しくないというのもありますw)
今回この記事で取り上げたい問題は、「排出するカンテラーノの偏り」です。
A Madora出身の選手にはポジション面でも選手の特性としてもだいぶ偏りがあります。
まず多産なのが、ラテラルとGK。ジョニー、マジョ、ケビンはトップレベルで定着・活躍しています。そしてセービングの上手いGKに関してはここ最近補強をしなくても十分やっていけるほどです。(怪我人だらけで久しぶりに誰か取りそうですが。)
そこそこ出てくるのは足元に優れた1.5列目の選手とスピード系のFWです。前者はブライスやベイガ、後者はミナですかね。中間にあたるのがアスパスやロサダだと思っています。
一方、全然出てこないのは中盤の底を任すことのできるピボーテ、CB、体の強さを生かしたポストプレーが出来るCFです。また純粋なサイドプレイヤーも少ないですね(そーゆー意味でもミゲル・ロドリゲスとダビド・ヴィランの同世代ウィンガーコンビは貴重)
まだ短髪だったころのミゲル・ロドリゲス。全く長髪なんかにしてマセちゃって・・・w
カンテラを重視するのであれば、やはり多産するタイプの選手を軸にトップチームのゲームモデルを作り上げていきたいところです。
となると、引きこもってカウンターを狙うよりもボールを握ってライン間にボールを送り込みつつ、サイドバックが絡んでいく厚みのあるサイド攻撃を目指していくことになります。
相手の最終ラインを押し下げスペースを供給することで1.5列目の選手が生き生きとプレーできるようにし、なおかつその旨味をゴールという結果につなげるCFないしWGがほしくなります。さらに2ライン間を攻撃するためのボールを供給するCB,GKも必要です。
また守備面ではアグレッシブなプレスで即時奪還を目指す事が望ましくなるでしょう。それに対して相手がロングボールを送り込んできた時に対応できるフィジカルの強さも欲しくなってきます。
つまり主役(1.5列目)と厚みを持たせる三枚目(SB)は豊富にそろうのですが、それを生かす脇役(CF)と物語を進め補助する良質なナレーター(足元の上手いCBとGK)を排出できないというのがセルタのカンテラの現状です。
その上で、まさにハコボ・モンテスがやろうとしたサッカーはセルタが目指すべきサッカーの一つの理想形だったと思います。しかし土台部分がグラグラで、バランスが悪かったというのが感想です。
ボールを握って攻撃すれども、シュートが入らずじわじわと時間がすり減っていく・・・そのなかで態勢を崩してまでSBが攻撃に出ずっぱりになっているとCBの強度不足も相まって一発のカウンターで沈む・・・。弱点が一度バレると相手は完全に割り切って戦うようになります。そして、しまいにはビルドアップミスで失点。今季のセルタBの負け方の一つのパターンだったと思います。
まとめると、土台が良くないので攻撃の旨味が少なく、守備面でのリスクが表に出てきやすかった、ということです。
一方オネシモがやった修正は理想を捨てて、土台が良くなくても建物が建ってられるくらいに上部の装飾や部屋を削ったという感じでしょうか笑
今後について、書き殴ってみる
さて、このBチームのこの状況から今後の推移を考えてみましょう。筆者の中でもまだもやもやした部分があるので多少読みにくくなってしまうかもしれませんが・・・ココまでたどり着けた人なら、ついて来られるっしょ!!()
まずは土台の部分をどうするのか。
特にCBは人材難が激しく、スペイン代表レベルは誰もいません。辛うじてフォンタンが若くしてBチームに定着し、ガリシア代表に食い込んでいるため期待がかかります。しかし、同様に期待されていたコスタス・アレンデがセルタでは大いに活躍したとは言えない状況です。スペイン全土的にCBが枯渇している状況もありますが、なかなか深刻だといえます。
アスパスと笑うフォンタン。
またGKについては将来を担うであろうラウール・ガルシア、イアゴ・ロドリゲスとセサル・フェルナンデスあたりのプレーを確認できていないので長期的な推移は分かりません。しかし少なくともビジャールまでは劇的な足元の技術の向上は見られないことを明記しておきます。
そのため、昨年マラガからやってきて、ようやく怪我から復帰できそうなアルバロ・フェルナンデスにかかる期待は大きいです。今季のセルタBの見どころの一つと言えるかもしれませんね。
CBとGKの足元を育てるには非常に時間が掛かりそう(10~20年)ということは一つ頭に入れておきたいところです。
それまでどうするのか。
最も有力な解決策はCB、GKが困ったときに蹴っ飛ばせる場所を確保しておくということです。これには様々な方法があると思いますが、手っ取り早いのはポストの出来るCFを置くことですね。トップチームのスモロフやBのアペーに当たります。
2年に渡りエースだったアペー。ハコボと共に来季はテネリフェでプレーする。
こうやって考えてみると、トップチームの不振は究極的に言えばカンテラの偏りによるものとも考えられそうではありませんか?
今季のセルタはカンテラを重用するという戦略を以前より明確に打ち出したシーズンでした。しかし、目玉のデニスやラフィーニャ復帰にお金を取られ、カンテラでは補いきれない部分を軽視したとも言えます。もしも、CBに大金をかけてアイドゥーよりビルドアップに優れたCBがいたら、どうだったでしょうか?さらにシーズン初っ端からスモロフがいた場合はどうだったでしょうか?「タラレバ」言っても仕方ない部分は大いにありますが、戦略に合った補強であったのかという振り返りは必要です。
また、エスクリバ続投もやや甘えだったようにも感じます。(エスクリバについては次のブログで書きたい!)
戦略としてのカンテラ重用には大賛成ですが、その戦略を遂行するための方法論はやや修正が必要なのではないでしょうか?
モチロン長期的な修正としては足元に優れたCB、GKも作り出していくということがあると思います。しかし、これは突き詰めていくとガリシア州に住む人々の身体的特徴に左右される部分もあるのではないかと考えます。正直、ソコまで行くと手に負えない感はありますね笑
(だから昨今のビッククラブは偏りを防ぐために自前で育てるよりもスペイン全土からスカウトしてくるのかも。ラウールのカスティージャがその顕著な例)
正直なところ、短期的な修正案は補強に気を使うぐらいしか思いつかないのです・・・ここは筆者の力不足です、すいません(;´・ω・)
クラブとしてカンテラ重用という戦略をどのように実行していくのか、今後とも注視していきたいところです笑
次回はエスクリバからオスカルに変わって何が変化したのか、そして来シーズンの展望を書きたいですなぁ(果たして開幕に間に合うのか!?)