プレイバック!Celta! 第4節ジローナ戦 ~前編~ ウンスエの光と影
もうバジャドリー戦終わっちゃいましたが!2回目にして早くも周回遅れですが!
今季初黒星を喫したジローナ戦を2回にわたって振り返っていきます!
スタメン!
セルタはメンバーは前節と同じですねー。今節はベルトランがほぼ左固定でした笑
ジローナは昨年に引き続き3バック採用。監督が元セルタのエウゼビオになったので4バックかなと思っていたのですが、5に近い3で来ました。
昨年大活躍だったポルトゥとストゥアーニが残留したのはでかいですね。他にもマンチェスターシティからレンタルした選手達の多くが今年も所属しています。
ポイントは3トップの並び。ポルトゥは右に大きく開いています。一方で左のボルハ・ガルシアは中央に絞りつつ、低い位置へ。
これが試合を通じてかなり効いてました泣
キックオフ!の前に・・・
この試合を通じて、セルタがボールを握り、ジローナがカウンターを狙うという構造で試合が進んで行きます。
ウンスエセルタのポジショナルな攻撃(遅攻)
昨年はウンスエがポジショナルプレーという概念を導入し、かなり整理された攻撃を見せたセルタさん。
正直、筆者の知識では詳しく説明する事が難しいのですがおさらいしましょう。
まず、ポジショナルプレーというのはなんらかの戦術や攻撃方法、選手の動きを直接指すものではないようです。(筆者も最近まで勘違いしてましたw)
どちらかというと、サッカーの考え方、解析方法、方法論といった概念的なものに近いようです。
そこを踏まえた上で読んでくださると幸いです。
このポジショナルプレーの目標は、選手の位置を整理し、再現性のある攻撃を自らの手で繰り出す事にあります。相手に合わせたサッカーを行うのではなく、自分たちの手で相手を振り回そうという考え方です。
よってポゼッションサッカーやカウンターサッカーとは無関係であり、同時に両方の場面で通用するものです。ボールをポゼッションすることが目標ではありません。あくまでポゼッションは手段です。
なお、このブログにおける「ポジショナルな攻撃」というのは選手の位置をセッティングした攻撃という意味です。ポジショナルプレーの概念を取り入れているかどうかは関係ありません笑 悪しからず。
セルタさんの場合、目標として
- シストちゃん、アスパスが1対1で仕掛けられる状況を作ること、
- 両サイドバックがクリーンな状況でクロスを上げる事、
この二つを目標に組み立てて行きました。
そして昨年のウンスエセルタの攻撃時の陣形です。
ポジショナルプレーの最も基本的な原則として、選手を斜めに配置しパスコースの選択肢を増やしていくことが挙げられます。
選手の主な位置を図で示しましたが、三角形を組み合わせたように並んでいます。これによってパスの選択肢を増やすとともに、相手にどのパスコースを切るかの選択を迫り相手の守備ブロックをいびつな形にしていきます。
もちろん、選手の位置はここに定点的にいるのではなく最も効果的に三角形を作れるようにレーン間を移動していきます。そして時には片方のサイドに密集し、逆サイドにボールを振った時にドリブラーが1対1で仕掛けられるような構図(オーバーロードとアイソレーション)を作っていきます。
特に重要なのは、真ん中と両端に挟まれたインサイドレーンです。このレーンの相手の最終ラインと2列目のライン間はハーフスペースと呼ばれており、相手のDF陣の中間の位置にあたり、相手の位置を動かすためには持ってこいの場所です。
セルタでは主に外に張った両ウィングがハーフスペースに入っていき(黒矢印)、ボールを受けて仕掛けていきます。
ここで相手のSBが食いつけば空いた外側のレーンから裏抜けしたSBにボールを渡してクロス。CBが食いつけばCFとワンツーで抜け出すことを狙っていきます。
さらにウンスエセルタの特徴としては、ワンツーではなくセントラルハーフがその間に飛び込んで(赤矢印)、パスのリターンを受けに行くという形が見られることです。
さらに細かい説明は省略しますが、左SBのジョニーが中に入ってくるパターンやシストがカットインで仕掛けたのちに逆サイドの端のレーンにいるカピタンへ対角クロスを狙っていく形もあります。
ウンスエセルタの守備
さてこのウンスエセルタですが、守備面に大きな問題を抱えていました。
ポジショナルプレーを取り入れると、ボールサイドに人が密集しがちになります。そのため背後や逆サイドに大きなスペースが生まれてしまい、ボールを奪われた直後にそこへ展開されると一気に危険な状態へ陥ります。
そこでボールを展開される前に刈り取ってしまうゲーゲンプレスと、あらかじめカウンターに備えておく予防的マーキング・カバーリングが必要不可欠になってきます。
まず後者についてはロボツカが中央に陣取ることで、こぼれ球をことごとく回収していました。しかしCBの足があまり速くないため、こぼれ球をスピード勝負にされると非常に厳しいものがありました...
これは単純にどれだけCBにお金をかけられるかが問題かなと...現にシティはラポルテに凄まじい大金をつぎ込んでいました。
そして大きな問題だったのが前者です。もちろんゲーゲンプレスは一昨年のベリッソから続けているものなので全く機能しないというわけではなかったんですが、これだけで守れる代物ではありませんでした。
特にセルタの場合、セントラルハーフまで裏抜けを狙う(前の図の赤矢印の動き)のでさらに背後が空きやすいという欠点をかかえていました。
これを見かねたウンスエさんはリトリートでの守備を積極的に取り入れるようにしました。
シストちゃんが1列下がり、ヴァスが右へスライド、ロボツカがヴァスの場所を埋めることで4-4ブロックを形成しました。
しかしシストとヴァスの動く長さが尋常ではないので、その間に展開されてしまうことも。特に左サイドは年間を通じて集中攻撃を浴び、ジョニーの上がりを制限せざるを得なくなっていきました。
(もうこんなのイヤだ(´・ω・`) といった感じでジョニーは移籍)
またシストのガス欠が早まって後半開始とともに交代の場面も増え、ヴァスに至っては足をつっている場面が何度も見られました。(これ以上やったらハゲちまう(´・ω・`) といった感じでヴァスも移籍していきましたとさ...)
最初はある程度の効果が認められましたが、構造上の欠点を抱えているため思った以上に脆かったのが印象的ですw
そして最後までウンスエさんはこの問題を解決することが出来ず、1年で解任になりました・・・・
対して、モハメドの遅攻はどうだったのでしょうか?
モハメドのポジショナルな攻撃(遅攻)
モハメドの遅攻は3バック時はリトリートした時から逆算されて作られていることがウンスエセルタとの違いです。
前回も説明した通り、ベルトランが落ちてきてそのスペースにシストが入ってきてビルドアップのフォローを行います。またアスパスが落ちてきてより分厚いビルドアップを行うこともあります。
そのため前線3枚はかなり自由に動いていきます。
最終的には上がってきたWBを使いながらサイドで攻撃をしかけていきます。
大部分は前線3枚のアイデアに任されているのかなぁという感じです。
そしてミソなのがリトリート時。
基本的にはベルトランとロボツカが中央を守りますが、シストちゃんがファーストディフェンスで中央よりに位置取りを取った場合は、ベルトランが少し左によってカバーをします。(図はやや大げさに書いてます。)
ベルトランの移動によってシストのプレスバックの距離を短くすることに成功するとともに、そのままシストちゃんがカウンターの入り口として機能することが可能になりました。
そして、中央を3枚確保しつつ、2トップが真ん中のパスコースを切っていくことで相手の攻撃をサイドへ誘導していきます。
攻撃が激しい場合はアスパスが下がって5-4-1で対応していきます。
これが生きたのが前半4分。アルバレスからのゴールキックをジローナが拾います。
するとベルトランはシストちゃんのプレスバックを確認しながら外へ開いていきます。
シストのプレスバックが完了したところで、ベルトランはさらに外へ追い込みます。
ジローナはボールを下げるとシストちゃんがプレスへ。ベルトランはシストちゃんが抜けた中央を埋めにいきます。
ここで中央に出たボールをロボツカがカット。こぼれ球をシストちゃんが拾うとマキゴメに当て、ロボツカへ。ワンタッチでアスパス、さらにシストとワンツーで時間を作ると右インサイドレーンを駆け上がるロボツカへパス。
これで相手の2番目のプレッシャーラインまでリトリートの陣形から滑らかにボールを持って行くことができました。
これに対し、ジローナはどのようにカウンターを狙っていったのでしょうか?
後編に続く!w